飲食店の客単価が伸びない時に見るメニュー表と追加注文のすすめ方

平日の売上が伸びないと、来店数を増やすことばかり考えたくなります。もちろん新しいお客さんは大切です。ただ、席が半分ほど埋まっている日でも、注文が一品で止まる、ドリンクが最初の一杯だけで終わる、デザートや締めの案内が出ない。そんな状態なら、先に見る場所は広告ではなくメニュー表です。

客単価を上げるというと、値上げや高いメニューを売る話に聞こえるかもしれません。でも、小さな飲食店でまずやりたいのは、無理にすすめることではありません。お客さんが「それも頼むとちょうどよさそう」と分かるように、組み合わせを見せることです。

今日見るのは三つだけです。メニュー表の並び、追加注文の一言、平日夜の使い方。この三つがそろうと、同じ来店数でも売上の底が少し上がります。

飲食店の客単価を上げる考え方

飲食店の客単価を上げるとは、一人のお客さんが無理なく頼みやすい組み合わせを増やし、来店一回あたりの売上を高めることです。単に高いメニューを前に出す話ではありません。お客さんが食事の流れを想像しやすくする話です。

値上げの前に見る注文の止まり方

まず、注文がどこで止まっているかを見ます。最初の一品で止まるのか、ドリンクが二杯目に進まないのか、食後の一品が出ないのか。ここが分からないまま値上げすると、客単価は一時的に上がっても、来店頻度が落ちることがあります。

たとえば、定食店なら小鉢やドリンク、居酒屋なら二杯目と軽い一品、カフェならセットの小さなデザートです。客単価は高額メニューで一気に上げるより、自然な追加注文を一つ増やす方が安定します

まずはレジや予約台帳を見て、よくある注文パターンを三つだけ書き出してください。一人客、二人組、三人以上で分けると分かりやすいです。売れていないメニューを急にすすめる前に、すでに頼まれている流れを見ます。

お客さんが頼みやすい理由

追加注文が出ない理由は、料理が悪いからとは限りません。お客さんが次に何を頼めばよいか分からないだけのことがあります。メニュー表に料理名と価格だけが並んでいると、初めて来た人は自分で組み合わせを考えなければなりません。

小さな店なら、全部の説明を長くする必要はありません。「軽く飲む方へ」「二人で分けやすい」「締めにちょうどよい」のような一言を入れるだけで、注文の迷いは減ります。これは料金表の見せ方にも近い考え方です。選び方の一行は、料金表で安さ以外も届く松竹梅の一行説明でも扱っています。

メニュー表で客単価を上げる順番

メニュー表を直す時は、デザインを全部作り替えなくても大丈夫です。最初に直すのは、注文されやすい組み合わせが見えているかどうかです。お客さんは、店側が思うほどメニューを細かく読み込んでいません。

入口メニューと追加メニューの分け方

入口メニューは、初めての人が迷わず頼めるものです。看板料理、定番セット、人気の一品などです。追加メニューは、入口メニューの後に頼むと満足度が上がるものです。ここを分けずに全部横並びにすると、お客さんは最初の一品だけで満足した気持ちになります。

たとえば、入口に「まずはこちら」と置き、その近くに「一緒に頼まれやすいもの」を三つだけ置きます。唐揚げならハイボール、パスタならサラダ、焼き魚定食なら小鉢、カレーならラッシーのように、店ごとの自然な組み合わせで構いません。

  • 入口メニューは初めてでも選びやすいものにする
  • 追加メニューは相性が分かる一言を添える
  • 高い順ではなく食べる流れで並べる

この並びにすると、スタッフが毎回強くすすめなくても、お客さんが自分で組み合わせを見つけやすくなります。

セット名より使い方の一言

「Aセット」「おすすめセット」だけでは、何が自分に合うのか分かりにくいです。セット名を変えるより、使い方の一言を足します。「仕事帰りに軽く」「二人で分けやすい」「一杯目と一緒に」のように、場面が見える言葉を置きます。

ここで大切なのは、店側の売りたい気持ちを前に出しすぎないことです。「絶対お得」「今だけ」「頼まないと損」のような言葉が多いと、押し売りに見えることがあります。小さな店ほど、落ち着いた案内の方が信頼されます。

AIを使うなら、メニュー名を貼り付けて「一人客向け」「二人で分ける向け」「平日夜向け」に分ける下書きを作らせる程度で十分です。最後の言葉は、実際のお客さんの会話に近い言い方へ直してください。

追加注文を増やす声かけ

客単価を上げたい時に、スタッフの声かけだけへ頼るのは危険です。言い方が人によって変わると、ある日は自然でも、別の日は押し売りに見えてしまいます。だから、声かけはメニュー表と同じ言葉にそろえます。

押し売りに見えない聞き方

追加注文の声かけは、「こちらもいかがですか」だけだと少し強く感じられることがあります。代わりに、選ぶ理由を短く添えます。「このお料理なら、さっぱりした小鉢を一緒に頼む方が多いです」「今日は二名席がゆっくり使えるので、締めまでゆっくりでも大丈夫です」のように、相手の状況に合わせます。

ポイントは、売るための一言ではなく、迷いを減らす一言にすることです。お客さんが断っても気まずくならない言い方にします。断りやすい声かけは客単価だけでなく次の来店も守ります。無理に一品を足すより、次も来たいと思ってもらう方が長く効きます。

スタッフごとの差を減らすメモ

スタッフが複数いる店では、声かけメモを一枚作ります。長いマニュアルではなく、よく出る三つの注文に対して、添える一言を決めるだけです。

  • 最初の一品に合う追加メニュー
  • 二杯目へ進みやすい声かけ
  • 食後や締めに案内する一品

たとえば、「ハンバーグには小さなサラダを先に出す方が多いです」「二杯目は軽めのレモンサワーにされる方が多いです」のように、実際の注文に近い言葉を残します。スタッフの個性を消す必要はありません。店として言ってよい範囲をそろえるだけです。

このメモは、忙しい時間ほど役に立ちます。店内が混んでくると、スタッフはどうしても会計、片付け、配膳を優先します。その時に毎回考えなくても言える一言があると、追加注文の案内が抜けにくくなります。新人スタッフにも渡しやすく、店長だけが売上を作る状態から抜けやすくなります。

平日夜の客単価を上げる見せ方

平日夜は、来店数と客単価を分けて考えすぎない方がよいです。空席が多い時間帯に来てもらい、その時間に頼みやすい組み合わせを見せる。この二つを一緒に考えると、割引だけに頼らず売上を作りやすくなります。

空席時間に合う組み合わせ

平日夜は、長く飲む人ばかりではありません。仕事帰りに一時間だけ、二人で軽く、二軒目で少しだけ。こうした使い方があるなら、メニュー表やSNSで先に見せます。詳しくは、飲食店の平日夜集客で空席を予約に変える来店理由の作り方とつなげて考えると分かりやすいです。

平日夜向けの組み合わせは、豪華にしすぎなくて大丈夫です。「一杯と小皿」「主菜と小鉢」「二人で分ける軽い一皿」のように、頼みやすい入口にします。お客さんが来店理由を持ち、さらに一品を選びやすい流れを作ります。

SNSとLINEで見せる順番

SNSでは、料理の写真だけでなく、使う場面を一緒に出します。「今日は20時以降に二名席が取りやすいです」「軽く一杯の方は、この小皿と合わせやすいです」のように、空席と注文の流れを一文で見せます。

LINEやメルマガでは、常連向けに少しだけ具体的にできます。「今週は平日夜に小皿の組み合わせを増やしました」「仕事帰りに短時間でも寄りやすいよう、締めの一品を先に見せています」のように、来店理由を短く届けます。

ここでもAIは、写真につける一言の候補出しに使えます。ただし、最後は店の言葉へ戻してください。AIっぽい整った文章より、実際に店で言われても自然な一文の方が伝わります。

客単価を見直した後に見る数字

メニュー表や声かけを直したら、すぐに売上全体だけで判断しない方がよいです。天気、曜日、予約数で売上は変わります。まず見るのは、追加注文の数と、注文の組み合わせです。

一週間だけ見る三つの数字

最初の一週間は、細かい分析をしなくて大丈夫です。三つだけ見ます。

  • 二品目や二杯目が出た件数
  • セットや組み合わせで頼まれた件数
  • 平日夜の一組あたりの平均注文額

この三つが少しでも動けば、メニュー表や声かけが効き始めています。逆に動かない場合は、組み合わせが分かりにくい、価格差が大きすぎる、声かけのタイミングが遅い、のどれかを疑います。客単価の見直しは売上表だけでなく注文の流れを見る作業です。

常連に聞く短い質問

数字だけでは分からないこともあります。常連のお客さんに聞くなら、質問は一つで十分です。「このメニュー表で、次に頼むものは見つけやすいですか?」と聞いてください。値段が高いか安いかより、選びやすいかを聞きます。

ここで出た言葉を、次のメニュー表に戻します。「軽めのものが欲しい」「二人で分けやすいものが分からない」「締めが見つけにくい」。こうした言葉は、そのまま見出しや一行説明に使えます。

よくある質問

客単価を上げるには値上げが必要ですか?

最初から値上げだけを考えなくても大丈夫です。まずは、今あるメニューの組み合わせ、追加注文の一言、平日夜の使い方を見直します。値上げは、提供内容や原価、常連への伝え方を整理してからでも遅くありません。

追加注文の声かけは嫌がられませんか?

押しつける言い方なら嫌がられます。けれど、「この料理なら小皿を合わせる方が多いです」「二人なら分けやすい量です」のように、選ぶ理由を短く伝えるだけなら親切に見えます。断りやすい雰囲気を残すことが大切です。

メニュー表を全部作り直す必要はありますか?

全部作り直す必要はありません。まずは、よく出る入口メニューの近くに、相性のよい追加メニューを三つだけ置きます。さらに「一緒に頼まれやすい」「二人で分けやすい」のような一言を足します。

平日夜だけのセットは作った方がよいですか?

作ってもよいですが、割引だけのセットにしない方がよいです。平日夜に来る理由が見える組み合わせにします。短時間で食べやすい、一人でも頼みやすい、二人で分けやすいなど、使う場面を先に決めてください。

今日直す客単価の入口

飲食店の客単価を上げる時は、高いものを売る前に、頼みやすい流れを作ります。入口メニュー、追加メニュー、声かけ、平日夜の使い方。この四つがばらばらだと、お客さんは最初の一品で止まりやすくなります。

まずは一番よく出るメニューを一つ選び、その横に「一緒に頼まれやすいもの」を三つだけ置いてください。次に、スタッフが言いやすい一言を一つ決めます。今日直すのは、メニュー表全体ではなく、一番売れている入口メニューの隣です。

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パーソナルビジネスブレインズ・グループ代表。マーケティング支援事業(アタマーケ・ラボ)、起業支援事業(起業18フォーラム)など、多数の事業を展開中です。
About 新井 一
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