GPT-6 Astra とは?|発表内容と、小さな会社に関係するところ

OpenAIから新しいモデルが出まして、朝から「これ、使ったほうがいいですか?」というご質問をいくつかいただきました。GPT-6 Astra です。
公表された成績表を見ると、正直なところ、数字がおかしいレベルで上がっています。ただ、だから今日から何かを変えたほうがいい、という話ではありません。
何が発表されて、そのうち私たちのような小さな会社に関係するのはどこなのか。整理してみます。
GPT-6 Astra は、何ができるモデルなのか?
OpenAIの一番上のモデルです。位置づけとしては「最初から最後まで、AIに任せきりでやらせる業務向け」となっています。
複雑な調べもの、プログラムを書く、パソコンを操作する、長い文書をまとめる。人が横についていなくても最後まで走りきる、そういう仕事を想定しているわけですね。
できることと、できないことを並べておきます。
- 入れられるのは、文章と画像
- 返ってくるのは、文章だけ
- 音声と動画には対応していません
- 考える深さを5段階で指定できます(low / medium / high / extra high / max)
動画から文字起こしをしたい、音声で相談したい。そういう使い方は、このモデルの守備範囲ではありません。そこは今まで通り別のものを使ってください。
いつから使えるのか?
これが少しややこしくて、順番に配られていく形になっています。まず大企業向けから始まって、APIとPlus・Pro・Business・Enterpriseのプランには数日以内、という案内です。
そして無料プランは対象外です。画面を何度更新しても出てこない、という方もいると思いますが、故障ではありません。順番待ちですね。
中身と、料金の話
一度に読み込める量が約105万トークン、書き出せる量が約12.8万トークン。ここは前のモデルからそれほど変わっていません。
むしろ気にしておきたいのは、学習が2026年4月30日で止まっていることです。それより後のことは知りません。制度や相場のように動くものを扱わせるときは、こちらから資料を渡す必要があります。
ここからはAPI、つまり自分でプログラムに組み込んで使う方の話です。100万トークンあたり、入力が10ドル、出力が50ドル、キャッシュ入力が1ドル、キャッシュ書き込みが12.5ドル。
効いてくるのはキャッシュ入力の1ドルです。AIに長時間動き続けてもらう使い方だと、費用の大半がここになります。同じ時期の他社モデルには0.25ドルのものもありますので、長く回すほど差が開きますね。
それともう一つ。入力が27.2万トークンを超えると、超えた分だけでなくリクエスト全体の単価が上がります。105万トークン読めるからといって資料を丸ごと投げ込むと、後で請求を見て驚くことになります。
発表された成績はどうだったのか
OpenAIが出している比較表の数字です。前のモデル(GPT-5.6 Sol)と並べてみます。
- 科学研究の作業をターミナルでやらせるテスト 22.4% → 64.6%
- 業務ツールを操作して仕事を完了させるテスト 18.1% → 41.4%
- 研究レベルの数学 83.0% → 97.6%
- 3Dモデリングの設計 83.3% → 95.9%
- 医療の専門的な相談 60.5% → 63.4%
2つめの業務ツールのテストが、私はいちばん現実的だと思って見ていました。Gmailやスプレッドシート、Slackを模した環境で、営業や経理や人事の一連の作業をやらせて、最後に全部が正しい状態になっていたら合格。一つでも間違っていたら不合格で、部分点はありません。それが4割を超えてきたわけです。
正直、桁が違う数字が一つあります
ARC-AGI-3 というテストが 7.8%から99.9% になっていました。これは点が上がったというより、できなかったことがまるごとできるようになった、という数字ですね。7.8%というのは、ほぼ何もできていないという意味ですから。
このテストは、覚えていれば解ける問題ではなく、初めて見るルールをその場で見抜けるかを見るものです。3のほうはパズルではなくゲームで、説明が一切ない状態に放り込まれて、そもそも何をすればいいのかを自分で見つけていきます。人間なら簡単なのにAIには壊滅的にできない領域として知られていました。
その数字、そのまま信じていいのか?
ここは冷静に見ておきたいところです。
テストを作っているARC Prizeが公開している順位表を見ると、条件が2つあります。各社が自前の仕組みを使ってよい条件だと98.6%。どのモデルにも共通の中立な条件だと62.7%です。
99.9%が嘘というわけではありません。OpenAIの仕組みを丸ごと使ったときの数字だ、ということですね。もっとも、前のモデルが7.8%だったことを思えば、62.7%でも十分すごい話です。
もう一つ。第三者の評価機関Artificial Analysisの総合指数では、GPT-6 Astra は61でした。前のモデルのGPT-5.6 Solと同じ数字です。同じ時期の他社の最新モデルが66なので、そちらのほうが上ということになります。
公式の表では大きく跳ねているのに、総合点では動いていない。これは、伸びた分野とそうでもない分野がある、ということですね。
なぜ、少しずつしか配られないのか
OpenAIは、モデルの危ない能力がどの段階に達したかを自社で判定する基準を持っています。今回、サイバーセキュリティの能力が最上位に達したと公表しました。この判定を出したのは初めてだそうです。
ですから、渡す相手を絞って、監視を入れて、何かあれば止められるようにしてから順番に広げる、という出し方になっているわけです。手元に来るのが遅いのはそのためですね。
あわせて、危ない依頼を断る率が59%から91.5%に、外から仕込まれた指示に引っかからない率が96.23%から99.79%に上がった、とも公表されています。
で、私たちの集客は何か変わるのか?
チャットで使う分には、変わりません
文章を考えてもらう、記事の構成案を出してもらう。この使い方の質が、このモデルで劇的に変わるということはないと思います。総合指数が前のモデルと同じだったのは、そういうことでしょう。
変わるとしたら、任せきりにする仕事です
伸びたのは、人が横についていない状態で最後までやりきる種類の作業です。決まった手順でツールを操作して、決まった状態まで持っていく。ここが4割を超えてきたのは、これまでとは違いますね。
集客の仕事で言うと、こういうものが近いです。
- 問い合わせフォームの中身を、決まった形に整理して台帳に入れる
- 毎月の数字を決まった場所から集めて、決まった形の報告書にする
- お客様の声を分類して、次に書くページの候補を出す
ただし合格率は4割です。10回に6回は、どこかが間違っている。お客様に直接届くものを任せきりにするのは、まだ早いと思います。
順番待ちの間に、やっておくといいこと
使えるようになってから慌てないために、いまできることが2つあります。
先月やった仕事を、1つ決めておく
自分ですでに答えを出したことのある仕事がいいです。問い合わせへの返信を1通でも、ブログの構成案を1本でも構いません。使えるようになったら同じ条件でやらせて、自分が書いたものと並べてみる。
ベンチマークの数字を100個見るより、これ1回のほうがよほど分かります。
お客さんの情報を、1枚にまとめておく
お客さんがどんな人か。年齢、職業、困っていること。自分のサービスは何か。こういう書き方をされると嫌だ、という例。
これをWordかGoogleドキュメントに1枚書き出しておいてください。新しいモデルに乗り換えても、それを貼り付けるところから始められます。私も1枚作ってあって、モデルが変わるたびに使い回しています。チャットの履歴の中にしか無いと、乗り換えのたびに最初からやり直しになりますからね。
まとめ
GPT-6 Astra は、人が横についていない仕事を伸ばしたモデルです。チャットで相談する使い方が急に良くなるわけではありません。
公表された数字は確かに跳ねていますが、中立な条件や第三者の総合点で見ると、そこまでの差ではありませんでした。数字を見て乗り換えるのではなく、自分の仕事で1本やらせてから決めてください。
順番が回ってきたら、まず先月の仕事を1本。それがいちばん早い確かめ方です。
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