僕が「かつての福袋」を買わなくなった理由【リカバリー(リベンジ)プロセスの欠落】
お正月、街は毎年恒例のセールで賑わっている。
「福袋はいかがですかー?」
元気な店員さんの声が響き渡る。
新たな一年の始まり。僕にとって、この「初売り」は新年の活動開始のイベントでもある。新しい服を買い、美味しいごはんを食べ、そして、福袋を買う。年末からテレビで「福袋特集」を度々見ているため、この時点で楽しみも倍増している。何せ、投資額の倍以上の価値のあるものが入っている(という建前になっている)のだから。
それにしても、この「福袋」という商材は、不思議である。何せ、中身が分からない。七福神の大黒天様が持っている大きな袋を、「買うまで中身がわからないけれど買う」ギャンブルなのだ。いや、、「ギャンブルだった」と言うべきか。そう、時代は変わり、今では福袋は中身を確認して買うものになっている。そこから運試し的な要素は消え、通常のセールと変わりがない。
人には「損をしたくない」という強い欲求がある。それは、「得をしたい」という思いに勝るとも劣らない。長年の不況の時代を経験してきた消費者は、もはや運試しのドキドキワクワクよりも、失敗しない堅実な道を選ぶようになった。安定志向を望む傾向が強くなっているのだろう。大企業、公務員、ずっと自分を大切にしてくれる、終身雇用を望めばそうしてもらえる休日の多い会社、そんな企業に勤めたいと考える人が増えているのは、まさにその表れだろう。
だからこそ売れる、「中身を確認してから買う」失敗しない福袋。
だが、考えてみれば「中身がわかならい福袋」は、どれだけ失敗しても「学んでからの改善」ができないのだから、楽しみ続けるには限界があったのかもしれない。僕にとって、「失敗するリスクを背負ってでも買う楽しみ」とはつまり、失敗や壁に当たった時、それを乗り越え克服していく「リカバリー(リベンジ)プロセスを味わう楽しみ」でもあるからだ。
これまで全く興味がなかった「中身が分かる福袋」も、そう考えると面白くなってきた。かつての、完全に「運(誰かの手)」によってコントロールされている福袋とは違い、自分で選べる自由が嬉しい。「でもこれって普通のセールだよな」、そんなことを思いながら、中身を確認して福袋を買った。
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